ブランドコミュニケーション
【イベントレポート | パーパス経営の権威、名和 高司 氏】 社員の生産性と創造性に火をつけるパーパス経営とは #パーパスブランディング
目次
■ 2050年を見据えた”自由演技”として「新SDGs」を提唱 >>
■ 企業経営にサステナビリティは必須。その先のパーパスを打ち出すことが求められる >>
■ パーパスを自分ごと化できると、社員の生産性と創造性に火がつく >>
■ 自分たちで作ることができる30年先を見据えたパーパスを日々の仕事に活かす >>
■ パーパスをキレイごとでなく、それぞれの想いに寄り添ったものに >>
■ パーパスは自分たちの本当になりたい姿を描くこと >>
■ 【名和 高志 氏×コネクティ代表取締役社長 クロストーク】パーパス推進企業の8割が「策定後の実践・浸透」に課題を>>
「良質なデジタルで、社会を豊かに前進させる」というパーパスのもと、クラウドCMS・CDPの提供及び、企業のデジタル戦略を支援している株式会社コネクティ。CMSベンダーという枠にとどまらず、パーパスを基軸としたリブランディングを含むWebサイトリニューアル(事例:セゾン投信様)を手掛け、日本を代表するリーティングカンパニーのデジタルコミュニケーションを推進しています。
2023年9月、パーパス経営の権威である一橋大学大学院客員教授の名和 高司 氏を招き、オンラインイベント「Purpose World 2023 〜サステナビリティとパーパスブランディング。持続可能なWebコミュニケーション~」を開催。パーパスを実践するためのイノベーションを生む次世代経営モデルについてお話いただきました。
本記事では、名和 高司 氏の講演と当社代表取締役社長の服部とのクロストークをお届けします。
アーカイブ動画では、名和 氏の講演のほか、当社取締役で「パーパス・マネジメント」著者の丹羽 真理より、企業・組織でパーパスを策定する際のポイントやステップについて、当社代表取締役社長の服部よりパーパスが社内で共鳴するためのコミュニケーション戦略について解説しています。
「Purpose World 2023」
〜サステナビリティとパーパスブランディング。持続可能なWebコミュニケーション~
アーカイブ動画はこちら
パーパス起点の一貫したコミュニケーション戦略を実践し、効果を生み出すには
イベントレポートはこちら
2050年を見据えた”自由演技”として「新SDGs」を提唱
持続可能な開発目標であるSDGsは、2030年までに達成すべき課題として“規定演技“のようになりつつありますが、2030年で世の中は終わりません。私はその先の2050年を見据えた”自由演技”として「新SDGs」を提唱しています。「新SDGs」のSは”サステナビリティ“、Dは”デジタル”、Gは”グローバルズ“と捉え、その中心に”パーパス(志)”を据え、デジタルで生産性と創造性を変革、サステナビリティを実践し、分断されつつあるグローバルを繋ぎなおすという考え方です。
サステナビリティといえば最初にESGが頭に浮かぶでしょう。環境、社会、ガバナンスに配慮しない企業はリスクが多く、
企業経営にサステナビリティは必須。その先のパーパスを打ち出すことが求められる
さて、企業は3つの市場がありますが、100歳人生となった「顧客市場」はライフシフト、人が会社を選ぶ時代となった「人財市場」はワークシフト、
今、社会にとって当たり前でなくても、会社独自で大切にしているものがパーパスの原型となります。トヨタ自動車はSDGsの17ゴールにはない「ワクドキ(幸せの量産)」という18枚目のカードを切り、車の生産を通し「幸せを量産する」というトヨタフィロソフィーを掲げています。
パーパスを自分ごと化できると、社員の生産性と創造性に火がつく
ではここから、経営としてパーパスをどのようにプロフィット(利益)に転換させるかについてお話していきます。パーパスをきちんと打ち出して、お客様に共感いただけると売上は上がりコストが下がります。これにはマーケティング、オペレーション、人財の3つの要素が関係しています。お客様への無駄なプッシュが不要となりマーケティングコストが下がり、デジタルをフル活用することでオペレーションコストを下げる。そして、最も下がるのは人件費です。パーパスを自分ごと化できると、社員の生産性と創造性に火をつき、今の人財規模で売上を2~3倍にすることもできるでしょう。これがパーパス経営の一つの大きな狙いです。
コンプライアンスリスクにおいても効果があり、
また、パーパスを実践すると、ブランド資産、知恵と知識、ネットワーク価値、人財資産といった無形資産を増やすことができます。そして、この無形資産を将来のPLに転換していくことが大切です。
自分たちで作ることができる30年先を見据えたパーパスを日々の仕事に活かす
経営においては、長期と短期の時間軸が重要です。3年先(短期)は、為替やサプライチェーンなど、日々の動きに左右されますが、30年先(長期)は自分たち
パーパスをキレイごとでなく、それぞれの想いに寄り添ったものに
実践するための仕掛けとして、
パーパスは自分たちの本当になりたい姿を描くこと
パーパスは自分たちの本当になりたい姿を描くこと。「わくわくするか?」「ならでは?」「できると思うか?」と考えながら、
「パーパス経営」、ぜひみなさんも実践してみてください。
【名和 高司 氏×コネクティ代表取締役社長 クロストーク】
パーパス推進企業の8割が「策定後の実践・浸透」に課題を
株式会社コネクティ 代表取締役社長 服部 恭之(写真左)
服部:当社は企業のブランディングを含むWebコミュニケーションのお手伝いしており、パーパスを基軸にしたコーポレートサイトリニューアルを推進しています。パーパスを掲げる企業が多くなっていますが、最近はパーパス策定と策定後の実践・浸透、どちらのご相談が多いでしょうか?
名和氏:3年前は、パーパス策定がほとんどでしたが、現在は策定後の実践・浸透に関するご相談が8割を占めています。
服部:やはり、ここ数年で変わってきていますね。そういったご相談には、どのようなアドバイスをされますか?
名和氏:まず初めに、パーパスを実践・浸透させるには、丹念に根気強く継続する必要があるため、時間がかかることをお伝えしています。私が社外取締役を務めている味の素では3年かかりました。
服部:味の素様で3年ですか!3年でどのような変化がありましたか?
名和氏:味の素は本当に変わりました。エンゲージメント指数とブランド指数は右肩上がり、株価(企業価値)にいたっては3.5倍になりました。
服部:すばらしいですね。パーパスのKPIとしても、そういった指数を用いることが多いのでしょうか?
名和氏:はい。働き甲斐に通ずるエンゲージメント指数、ブランド指数、株価をKPIに設定することを勧めています。
服部:パーパス策定後、なかなか実践できないというケースもあるように思いますが、なにか具体的な事例はありますか?
名和氏:味の素では毎年パーパスアワードを開催しています。当初は、少し堅苦しい感じだったのですが、「身近にある小さなことでもパーパスとしてよい」と敷居を下げたことで、世界中の味の素グループからたくさんの応募が届き、活気づくようになりました。それぞれの活動を認証する仕掛けを作ることで、パーパスを持続的に浸透させることができています。
服部:他の企業でも実践しやすい、良いヒントになりそうですね。研修だけですと、その場限りになりやすいですが、アワードのような形式は、自発的に自分ごと化でき、エンゲージメント指数も上がりそうです。
本日は誠にありがとうございました。
スピーカープロフィール
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 客員教授 京都先端科学大学教授 名和 高司 氏
東京大学法学部卒、ハーバード・ビジネス・スクール修士(ベーカースカラー授与)。 三菱商事の機械部門(東京、ニューヨーク)に約10年間勤務。 2010年まで、マッキンゼーのディレクターとして、約20年間、コンサルティングに従事。 自動車・製造業分野におけるアジア地域ヘッド、ハイテク・通信分野における日本支社ヘッドを歴任。 日本、アジア、アメリカなどを舞台に、多様な業界において、次世代成長戦略、全社構造改革などのプロジェクトに幅広く従事。2010年6月より、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授に就任、現在同校客員教授。2021年より、京都先端科学大学教授。 株式会社デンソー(2019年まで)、株式会社ファースト・リテイリング(2022年まで)、味の素株式会社(2023年まで)、NECキャピタルソリューションズ株式会社(いずれも現在も)の社外取締役、朝日新聞社の社外監査役、 インターブランド・ジャパン、アクセンチュアなど複数社のシニア・アドバイザー(いずれも現在も)。『パーパス経営 - 30年先の視点から現在を捉える』や『CSV経営戦略』など著書・寄稿多数。